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「……………………」
そこにいるのは、教徒ではなく獣鬼。先ほどまでこの聖堂で祈りを捧げていた者たちだ。その中には神父の姿まである。奴らは次から次へと入り込み、既に二十体はくだらない。
「な、ぜ?」
「なんのために私が極秘の情報を晒したと思う? 我々が常に、千里鬼眼という鬼の眼で監視されているからだ。オニノトキシンは、秘密を知った者を生かしておかないようプログラムされている。外には他の建物にいた教徒たちもいるだろう。これで君の援軍も期待できない。つまり、どうあがこうとも私の勝ちだ。ふははははははは!」
郷田が顔を歪め大声を上げて笑い出す。全て郷田の思惑通りだった。あそこまでの情報を簡単に話したのは、獣鬼を覚醒させるため。教徒たちをこの一帯に集中させていたのは、このためだったのだ。あまりの周到さに舌を巻く。
「……ア、アァァァ……」
「キキッ」
「グッ…………」
すぐ近くで獣鬼が立ち上がった。林、白尾、気を失っていたはずの古谷まで。
「……すまない、お前たち」
清悟は悲痛に顔を歪め剣を握ると、迷いなく駆け出した。淀みなくまっすぐに部下三人の首を刎ねる。
清悟は林の耳から落ちたインカムを拾い自分の耳につけた。指揮官用のものだ。これが副主任まで配備されていたことが幸いした。
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