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「私に考えがあります」
「君は飛鳥の」
「成田清悟の後任で飛鳥の現G長、萱野と申します。皆さまは、先日の教団殲滅戦の報告書を読んでいただけましたでしょうか? その中に成田前G長が得た貴重な情報があったはずです」
「まだ読めていないなぁ」
「忙しくてね」
「ふむ、なんだったかの」
各次長、部長たちが首を傾げる中、この場のトップである本部長が顔をしかめ口を開いた。
「『最後の鬼人』だったか?」
「はい」
「それが今この状況を打開するのに役立つとでも?」
本部長は猛禽類のような鋭い眼差しで萱野を見る。
「その通りです。鬼人だった郷田が死の間際、こう言ったそうです。『その鬼人は、オニノトキシンの真実を知り、人類を救うための方法を一人で模索している』と」
嘘だった。だが萱野はあえて嘘を混ぜることで、上層部を操ろうとしていた。それもこれも人類が生き残るためだと信じて。
「信憑性に欠けるな。だが、もしそうだと仮説を立てた場合、君ならどうする?」
「その鬼人がいる『東京』へ向かいます」
「ほぅ……」
萱野が答えてすぐに会議室が喧騒に包まれた。
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