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「バカな!? 東京なんて、奴らの巣屈じゃないか! 今まで一度だって東京侵攻が上手くいったことはない」
「そうだ。例え昼間に探索したとしても、かなりの人間を動員しなければならない。他の拠点が手薄になるぞ」
「私もそう思いますね。いくらオニノトキシンの真実を知っていても、獣鬼の街でたった一人を探すなど、無謀すぎます」
戦いに関しては専門外のはずの他部署の部長、次長たちが豚のように喚き散らす。無言で成り行きを見守っているのは、本部長と兵科管理部長ぐらいのものだ。この程度の反論、萱野も想定していた。彼は、顔を青ざめながら話を逸らそうと必死になっている調査部長へ目を向けた。
「海から迫る獣鬼たちは、あとどれくらいの期間で日本へ上陸するのですか?」
「そ、それは……」
口ごもる調査部長。そこへ本部長が割り込んだ。
「早く答えんか」
「は、はい。遅くて一か月後、最短で一週間です」
「そ、そんな……」
「人類滅亡まであと一か月だと? どんな三流監督が書いた脚本だ」
衝撃的な事実に打ちのめされる年寄りたち。しかし、萱野にとっては千載一遇のチャンスだった。
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