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☆
それから十日が経過した。その間、道化師は王子と語らい、物語を伝えた。用心棒は人形師たちと次の旅の準備をしていた。王子による援助資金を何に充てるか。どこへ旅に行くか。それらに道化師は関与しなかった。あまり関心がないのだ。結果、呆れた用心棒が全てを考え、指示することになった。道化師の面倒を見ることはいつものことなため、用心棒にとっては日常の一部である。
出発の日。用意された荷馬車に人形師たちが乗り込む。続いてミルプも乗った。
ミルプは、この十日、道化師とろくに顔を合わせていない。用心棒の話では、ミルプは道化師の後継者として引き取られたらしいのだが、どうやら道化師は放任主義のようだ。道化師はミルプに貴重な紙やペンを渡すと、王子の相手をするため去ってしまった。することもなかったため、ミルプは語り部として知識や見聞を広げるため城にある書物を読み漁っていた。
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