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語り部は、霊を浄霊する力を持つ。そのため、ミルプは墓地にさまよえる魂を見つけては浄霊をしていた。聖歌を口にするように、語り、霊を浄霊する様は聖者のようだった。
たまに、話の出来るタイプの霊がいるから、話し相手になってくれたりもする。それがミルプにとっての唯一の癒しだった。
「今日は霊がいるかな……?」
墓地に着くと、そこには男女がいた。女性は剣を腰に差している。
「誰だろう」
帰ろうかと思ったミルプだったが、男がミルプに気づいた。男はミルプの方へ近づく。
男と目が合う。
なんて美しく、澄んだ瞳をしているのだろう。少女は男の青い瞳を見つめた。
男も少女を見つめる。それからほほ笑んだ。
「きみ、名前は?」
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