道化師は語る

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「……はい」 「暗い顔をしてはだめ。それにこれは良いことのはずです。語り部同士、何か通ずることがあるかもしれませんよ」 語り部同士。つまりあの男女のどちらか、あるいは二人ともミルプと同じ力を持っているのか。 「あれは何ですか?」 男がシスターに声をかける。シスターが答える。 「人形師による劇です。貧しい人々を少しでも減らすため、劇でお金を稼ぎ、人々に奉仕をしているそうですよ」 「立派な方たちですね」 と、女剣士が言う。すると、男は顎に手を当て、何か考え出した。やがて人形師たちの方へ歩き出す。人形師たちは人形を片付けている最中だった。 「すみません。今、よろしいでしょうか」 「なんだい、兄ちゃん」 細見の中年男性が不思議そうに答える。 「飢えを減らすために、お金を稼いでいると聞きました」 「ああ、まあな」 「飢えを減らす方法があるのですが、どうでしょう、私の話を聞いてはもらえないでしょうか」
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