白いアサガオ

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 キーンコーンカーンコーン。無機質なチャイムが教室に響く。いつまであれば、しんとした静かさだけが教室を包む瞬間だ。でも今日は、ガヤガヤと騒がしい空気だけが教室を満たしていた。 「おいお前ら、チャイム鳴ってるぞー。いつまで喋ってんだー。」  担任の斎藤が、ガラガラと音を立ててドアを開けた。それでも今日の教室は、真夏のセミのように騒がしい。 「せんせーい、てんこーせーが今日くるんでしょ。 早く連れてきてよー。」  クラスのリーダー的存在の鈴木が、甲高く大きな声で言った。ただですら、品のない声がいつもに増してよく聞こえ、美花は目を閉じた。 「鈴木は、可愛い女の子から知りたいだけでしょ。」 「ほんっとチャラいよねー。」  自称クラスで1番可愛い系女子の佐倉と笹木が 鈴木をヒートアップさせるように言った。 「うるせーよ、お前らだって、男だったらギャーギャーわめいてんだろ。」 「いいじゃん別に。こんなトキメキのかけらもないブスクラスなんだし、夢を持ったって。」  こいつらは自分がまるで世界の中心かのように喋る。教室が暴力的な騒音で溢れゆく姿を横目に美花は、意味の分からない苛立ちを感じていた。どろりとした真っ黒なものがだんだんと美花を染めていく。  友だちも先生も学校も大っ嫌いだ。何で毎日毎日、こんなに我慢しなきゃいけないんだ。本当につまらない。どろりとしたものがじんわりと胸を冷やすような声で囁く。 「おいお前ら、いい加減静かにしろよ。もうそろそろ、転校生ちゃんにも入ってきてもらうから。」  ざわり。先ほどの騒がしさとは違った高揚感に満ちた空気が教室を包む。幾つもの好奇の目が、教卓へと向かう。 「おお、やっと静かになったか。よし、じゃあ入ってきてもらおうか。」   入ってきて。と斎藤が言った。 「失礼します。」  少し震えているが、凛とした声が教室に響く。声の方に素早く、視線が声の方へと向かう。
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