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「自分が好きで好きでたまらなくても、行動しなければ、伝わるはずはない。」
放課後、自室のベッドの上で、美花は呟いた。あの日、私は奈緒に運命のようなものを感じた。だから当然、奈緒も自分のように、きっと恋だけでは表現しきれないような感情を持ってくれて、私のことが大好きになって、他の誰かよりも特別な存在になっているはず。そう思い込んでいた。しかし、現実はそんなに甘くない。美人な転校生ちゃんにみんな近寄らないわけがないし、人気者の奈緒が、スクールカースト底辺の美花に奈緒が近づくことなんて、絶対にない。苦さだけしかない現実に甘い理想を抱いていた自分が馬鹿らしかった。
「あーあ、ほんっとつまんない。」
そう言って、美花は、スマホを開いた。リアルに楽しいことが一つもない私には、二次元がお似合いだ。この前読んだ恋愛小説の続きでも読むか。そう思い、スマホに指を滑らす。色とりどりのキャラクターで縁取られたサイトをぼんやりと眺めていると、美花の目にある文字がとまった。
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