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サキはビルの五階に上がりインターホンを押した。
扉を開けて出て来たのは年配の女性だった。
「すみませんがお願いがあってやって来たんです、お宅の評判が
ええいうて・・」
とにかく上がってと部屋に招かれた。
「実は妊娠した赤ちゃんを堕ろしてほしいんです」
サキが自分のお腹をさすった。
「えっ、あんたが妊娠? 無理でしょ」
「ちがうがな、わての娘が妊娠してしもてな、商売上しゃあないんやけど
娘も望んでないから・・」
「そう言うことね、あーびっくりした、あんただったらヤバいよ」
「腕は折り紙付きって聞いてます、C国の出身で日本名は?」
「あやめよ、で娘さん妊娠何か月なの」
「7か月でもうすぐ・・・」
「ダメよ、かなり危ないよ無茶したら母子供に危険だし法律違反」
「そやからここにお願いに来たんです」
哀れな声でサキが訴えた。
しばらくあやめは考えた結果、
「その月でおろすのは反対です、危険すぎます、
出産ももうすぐですからいっそ産んでみては?」
「けど、望んでない子供やから・・・」
「赤ん坊を養子に出す方法もありますよ、母体を傷付けないで
赤ちゃんが幸せに暮らせるように」
「分かりました、ほな娘と相談してきます、また連絡するさかいに」
サキは部屋を出た。
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