330人が本棚に入れています
本棚に追加
大松屋にて。
「赤ちゃんや妊婦さんも無事確保されて本当に良かった」
松子がホッとお茶を飲んだ。
「しかし赤ちゃんの売買なんか外国では聞くけど、日本でも
やってるなんて衝撃だったね」と俊太郎。
「日本じゃ想像も出来なかったことだし、日本人の血統が
混じってると赤ちゃんの値段もあがるらしいわよ」
「外国も日本もおんなじや、悪い奴等はどこにでもおるわ」
すみませんと香川敦子が大松屋を訪れた。
一人の赤ちゃんを救うために大松屋に駆け込んで来た女性だった。
事件の経緯を聞きホット胸を撫で下す敦子。
「それで、赤ちゃんは無事なんですか?」
赤ん坊は特別の施設で大切に保護されていた。
「私が連れて来た赤ちゃんの母親、メリナって言うんですけど
彼女は奴等に拉致されて彼女も被害者なんです、それで彼女を
どうしても助けたいと思って・・」
C国で生まれ育ったメリナ、田舎の山村で極貧の生活を送っていた。
娘が年頃になると人買いがやって来て女郎屋に売る、家族は
得た少しの金で食い扶持を繋ぐのだ。
メリナは売られるのが嫌だった、家族を説得して幼い時に
家を出て都会に行った。
都会に行っても悲惨な生活は変わらなかった。
いかがわしい店の給仕をしながら生活していた。
最初のコメントを投稿しよう!