果ては・・・

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 大松屋にて。 「赤ちゃんや妊婦さんも無事確保されて本当に良かった」  松子がホッとお茶を飲んだ。 「しかし赤ちゃんの売買なんか外国では聞くけど、日本でも やってるなんて衝撃だったね」と俊太郎。 「日本じゃ想像も出来なかったことだし、日本人の血統が 混じってると赤ちゃんの値段もあがるらしいわよ」 「外国も日本もおんなじや、悪い奴等はどこにでもおるわ」  すみませんと香川敦子が大松屋を訪れた。  一人の赤ちゃんを救うために大松屋に駆け込んで来た女性だった。  事件の経緯を聞きホット胸を撫で下す敦子。 「それで、赤ちゃんは無事なんですか?」  赤ん坊は特別の施設で大切に保護されていた。 「私が連れて来た赤ちゃんの母親、メリナって言うんですけど 彼女は奴等に拉致されて彼女も被害者なんです、それで彼女を どうしても助けたいと思って・・」  C国で生まれ育ったメリナ、田舎の山村で極貧の生活を送っていた。  娘が年頃になると人買いがやって来て女郎屋に売る、家族は 得た少しの金で食い扶持を繋ぐのだ。  メリナは売られるのが嫌だった、家族を説得して幼い時に 家を出て都会に行った。 都会に行っても悲惨な生活は変わらなかった。  いかがわしい店の給仕をしながら生活していた。
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