果ては・・・

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 その頃一人の日本人と知り合った。  某企業から出張で来ている日本人だった。  男はメリナに優しく接し日本で働けば安定した生活が出来ると 言って日本の外国人研修制度に参加すべく準備してくれた。 「へえー よかったやん、運が良かったんやな」 「ええ、メリナは日本で頑張って働いてたんですが思わぬ 事が起きて・・」 「なんなの?」 「メリナが妊娠していたんです」 「えっ、日本人の男の子か?」 「そうです、途方に暮れたメリナはなすすべもなくそのまま 過ごしてたんですけど、妊娠が発覚して研修から外されたんです」  生活もままならぬ状態で水商売に踏み込んだ時、同じ外国人の 女から秘密裏に堕胎してくれるおろし屋を紹介されたのだ。 「お腹の大きいメリナを見てあやめは人身売買の組織に連絡して メリナは監禁されたんです、パスポートも取られてしまって」 「それで生まれた赤ん坊をあんたが別荘から連れて来るように 言われたんか、で、大松屋に来たんかあんたええことしたやん」 「メリナは犯罪者じゃありません被害者です、何とかして 彼女と赤ちゃんを助けたいと思って相談に来たんです」 頭を下げる敦子だった。  
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