質屋になった松子

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   両親は大喜びしたが松子は嫌だった。  ドイツの本社で一年間の研修がある。  慣れない外国で言葉も不自由な環境でやっていけるのか、 しかも研修が終わると世界中の支社に飛ばされる可能性がある。  ビクビクしながら本社で研修を受けた。  慣れない環境、言葉の壁、松子は体調を崩した。  一番困ったのは教官からのセクハラだった。 50過ぎの教官ゲイルは松子に親切にしながら松子にせまって来た。 自分はゲイルのターゲットにされていると思った時研修生の 一人が言った。 「ゲイルは強烈なアジアンフェチなのよ、 今まで随分ゲイルに泣かされてきた研修生がいるらしい」  最悪だ・・・  世界的にも垂涎の企業だが松子は決心した。 そしてB社を辞め日本に帰って来た。  もう一つB社を辞めたい理由があった。 話によるとこの国の財閥B社は第二次世界大戦中 ユダヤ人虐殺の効率化を図るため毒ガスを開発した。  チクロンB。 B社はヒトラーに貢献していたのだ。
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