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「ああ。お前の爺さんが知らない不良に絡まれていたから、それを助けたら『住むところがないんだったらワシが拾ってやる』自分の孫娘の用心棒になれ。自分は家を開けることが多いから丁度良いってな」
「でも、私そんなの聞いたことない!」
(ん?……ちょっと待って確か、おじいちゃん……朝何かを拾ったって行ってなかった?)
雪華がそう思考を巡らせていると、カイトは一枚の紙を雪華に見せた。
「ほれ。これが念書だ」
雪華はカイトから受け取り念書に目を通す。
そこには、間違えなく祖父の宗次郎の字で、
『私、有澤宗次郎は暫くの間、自宅を嵐山カイト氏に貸し与えることを約束する』
そう記載されていた。
期限は記載されておらず、おそらく無期限。
ご丁寧に拇印まで押してある。
これは間違えなく有力となる書類。
(おじいちゃんめぇ~~~また、面倒なことを~~~!!!)
雪華は念書を持ちながら、怒りで手をプルプルと振るわせる。
カイトは雪華の手から念書を奪い取った。
「まぁ、そういうことだ。さすがにずっとお前の家に世話になる訳にはいかねーから、取り敢えずは引越し資金が貯まるまでは厄介にならせてもらうわ」
「嵐山さんはこのことも踏まえて、私の学校の臨時教師になったのですか?」
警戒しん剥き出しに言う雪華に、カイトは楽しそうな口振りで彼女に答えた。
「俺もそんなに暇じゃねーよ。出版社辞めて無職になったから、たまたま臨時教師の仕事の募集していたんだよ。俺、こう見えても教員免許の資格持ってるからさ」
カイトは雪華に近づき、彼女に笑顔で言った。
「今度は先生として宜しくな。雪華チャン」
「~~~~~ッ」
こうして、ドS元担当編集カイトとJK小説家雪華の奇妙な同性生活がスタートしたのだった─────。
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