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同居生活の始まり
翌日の放課後。
雪華は図書室で一人小説の原稿を書いていた。
いつもだったら学校が終わったあと、すぐに帰宅する彼女だったが、今日は何故だかそのまま帰宅する気が起きない。
(はぁ……。どうしてこんなことになちゃったんだろう……)
雪華の悩みの原因はカイトだ。
祖父の気まぐれで始まったカイトとの同居生活。
もう二度と会わないだろうと思っていたドSで自分勝手な元担当編者。
だが彼は雪華の学校の臨時教師だけではなく、雪華の家で同居することになってしまった。
(普通、教師なら生徒と一緒にクラスのはアウトなはずでしょう~~!教師としての意識はないのあの人には!!)
昨日の夜。
カイトと初めての同居生活ではカイトは今までと何も変わらず、雪華にちょっかいをかけ、からかってばかりだった。
一緒に仕事をしている時もそうだったが、
彼はやたらと雪華に構っていた。
妹のように構われているのではない。
雪華の反応を見て彼は自分のことを面白い玩具か何かだと思っている。
雪華はそう感じていた。
(でもまぁ、今朝作った朝食残さないで食べてくれたのは嬉しかったけど……)
雪華はハッとし、思考を戻して目の前に広げていた原稿へと視線を向けた。
(いけない!!早く原稿書かなきゃ!!)
その時。
「お前、まだそんなアナログな方法で原稿書いてんの?」
囁く声がし、雪華は慌てて後ろを振り返る。
すると、雪華に後ろにはカイトの姿があった。
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