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「本当はお前に自分の想いを言うつもりはなかった。作家として成功して、普通に恋愛して幸せになってくれればそれだけで良かった。だけど、お前への想いは止められなかった。作家としても、お前個人としても、お前が欲しいんだ」
カイトは雪華を見つめて一言告げた。
「俺の立ち上げる出版社の『Light』の作家として来い。そしてずっと俺の傍にいろ。お前のことが好きなんだよ」
カイトの告白に雪華は思わず涙を零した。
彼が自分に想いを返してくれるとは思わなかった。
だって、彼はいつもからかいながらも、厳しいことを言いながらも作品を見てくれる。
それは、きっと彼が元担当で彼の好意だからと雪華は今までそう思っていた。
だから彼が自分のことが好きだと言うその想いに雪華は嬉しさを感じられずにはいられなかった。
「私もです……」
雪華は濡れる瞳で彼を見つめて、自分の想いを口にした。
「私も嵐山さんのことが好きです。嵐山さんと初めて会ったあの時から、ずっとずっと好きです」
「雪華……」
カイトは突然、雪華の身体を抱きしめた。
彼から抱きしめられた雪華は突然のことに動揺しながらも、彼女の胸は早鐘を打っていく。
顔を赤くする雪華の耳にカイトは甘く囁くように言った。
「これでお前は俺のものだ」
彼の言葉にドキリと胸が高なる。
雪華はおずっとした様子で顔を上げると、彼が自分を優しい表情をして見つめていた。
その表情に見とれてしまう雪華に、カイトは彼女の頬に優しく触れた。
「もう、一生離してやれないから、覚悟しろよ」
「はい。望むところです」
そう告げる彼に雪華は小さく微笑んだ。
そしてカイトは再び彼女へと顔を近づけ、唇を塞いだ。
最初は触れるだけの口付けから、より深いものへと変わっていく。
「んっ……」
深く甘い口付けを交わす中で、二人の間にサァーと柔らかな一陣の風が吹き抜けた。
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