担当さん私の作品愛してますか?~ドS編集者とJK作家の溺愛恋愛事情~

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本棚の前に着いた雪華は本棚の中から本を選んで、その中から一冊の本を手にした。 手にした本を軽くパラパラと頁をめくる。 (これ面白そう。これにしょうかな) 「今日はその本にするの?」 突然話し掛けられて、雪華は後ろを振り向いた。 そこには銀髪に赤い瞳をしたミステリアスな雰囲気を持つ一人の少年がいた。 彼の名は”奥田健人”。 雪華と同じクラスでこの学校の女子達から人気があり、ファンクラブまでできる程だ。 だが、本人は他の女子達には興味を示さず冷たい態度を取っていた。 その為周囲では”氷結の王子”と呼ばれていた。 そんな彼とは偶然あることが切っ掛けで、雪華と彼は話すようになった。 元々雪華は本が好きで良く図書室を利用していた。 また彼も雪華と同じく本を愛しており、良く二人で図書室で会うことが多かった。 それに加えて、他の女子には興味を示さない奥田だが、雪華には興味を示していた。 「奥田君も来ていたんだね。そう言えばこの前借りた本は読み終わったの?」 「うん。一昨日借りたばっかりだったんだけど、ストーリーが面白くって昨日で全部読み終えたんだ」 「奥田君が借りた本って結構分厚かったよね。あれを2日で読むなんって凄いね!」 「別に凄くないよ。おかげで寝不足だし……」 「ふふ。本って読み始めると止まらないよね」 「ああ。そうだな。ところで有澤」 「なに?」 「今日来た臨時教師、有澤の知り合いなの?」 奥田は真っ直ぐな瞳を雪華に向けて言った。 奥田の赤い瞳に見つめられて、雪華の胸がドキリと跳ねた。 「ちょっと、親の知り合いで……」 雪華はカイトとの関係性を奥田に告げる訳にはいかず、苦し紛れな言い訳をした。 「ふぅん。そうか」 「でも、どうして私と先生の関係が気になったの?」 不思議そうに訊ねる雪華。 それに対して奥田は少しだけ素っ気なく、顔を僅かに赤くして彼女に答えた。 「有澤があの教師と仲良さそうにしていたから、少し気になっただけ」 (それって、もしかして……) 雪華は奥田の言葉に心臓がドキリとした。 そんな時───。 ピリリリリッ メールの着信音が鳴った。 (そうだ!このあと打ち合わせがあったんだった!!) 「奥田君、ごめんね。私このあと用事があるからもう行くね。また明日学校でね」 雪華は彼にそう告げると急いで図書室を後にした。
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