となりのマリオ

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          今年一番の暑さはビールの売り上げをグングン伸ばして、酒屋を営む我が家としては大繁盛な一日だった。 働く俺としても早くビールが飲みたくて、閉店時間になるとすぐにシャッターを下ろす。 親父が風呂に入っているのを確認すると、そそくさと冷蔵庫から売り物のビールを3缶取り出して自分の部屋に直行する。 部屋に入るなり缶ビールを開けて口をつける。 苦味を楽しむ暇も無いまま、喉を鳴らしてビールを飲んだ。 「ぷは~!!生き返る!」 「また盗んだのかよ?」 ベランダの外から声が聞こえて、ビール片手に薄いカーテンを開けた。 「お疲れ、早かったんだな?」 「あぁ‥」 隣の家に住む慎太郎は小さい頃から仲が良く、端正な顔立ちは正直俺のタイプだが親友だ。しかも頭の出来もすこぶる良くて、今では大手企業のサラリーマン。 世の中は本当に不公平に出来ていると、慎太郎を見ているとつくづく思う。 慎太郎は疲れた表情で溜め息を吐くと、やめたはずの煙草を取り出し口に咥えて火を点けた。  
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