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「ど、したんだよ?」
一度決めたら絶対に実行する慎太郎が禁煙したはずの煙草に手を出す。目の前の光景に驚いて言葉がおかしくなってしまった。
慎太郎はそんな俺を見てクスッと笑うと、煙を吐き出してまた吸い込んでいる。
「なんかあったのか?」
「まぁ…な」
「ビール飲むか?」
「いいね、お前こっちに来いよ」
「わかった‥ちょっと待ってろ」
「相変わらずベランダから来れないんだな?」
「うるさいな」
部屋に戻り残りのビールを一気に飲み干して、くすねてきた2缶を手に持ち部屋を出た。
あの様子じゃビール2缶では足りないと思い、茶の間の前を泥棒のように抜き足差し足忍び足で通過する。
既に暗くなった店内を懐中電灯で照らし、売り物のビールを大量に袋に入れた。
「おいっ!!何をやってんだよっ!!また売り物に手を出しやがって!!麻里央!」
「その名で呼ぶなっ!!」
「俺がつけた名前のどこが気に入らないんだよっ!このバカ息子がっ!」
ステテコ姿で仁王立ちする親父を睨みつければ、パックしているお袋が現れた。
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