D plan

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 夕暮れの迫る部屋。カーテンの隙間から差し込む西日。ソファの周りには脱ぎ散らかしたままの服が散乱している。流しには水だけ張って放置されたコップがいくつも並ぶ。積み上げられたゴミ袋から溢れたゴミが床にこぼれ落ちて通路を塞ぎかけている。テーブルの上にも空いたカップ麺や弁当の空が積み上げられ、それらは今にも崩れそうだ。窓の外から、公園で遊ぶ子供たちの声が時折大きく響く。 「もう、無理だ……。」 もう僅かな面積しか空きのない床に、リョウジは器用に倒れ込む。それを待ち構えていたかの様に、テーブルの下からモゾモゾと一つの陰が這い出て彼の髪の毛に齧り付く。 「タンジー、止めろ。」 最早抵抗する気力も無く口だけで彼は呟いた。 『あの人と同じ様にこの子もお世話をしてあげて下さい。』 そう書き置きを残して妻のユリカが出て行って早2ヶ月が経っていた。
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