狂喜

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 そんな或る日、翔平の家にセールスマンがやって来た。  彼は翔平の前で自分が扱う丸薬を飲んで、げらげら笑って見せた。 「どうです。あなたもこんな風に陽気になれる薬を飲んでみたくありませんか?」 「はあ、試してみたいものですねえ・・・」 「では試しに一個どうぞ」とセールスマンに勧められた翔平は、その笑顔に誘われるが儘、丸薬をすんなり飲むことにした。  すると、翔平は確かに陽気になってげらげら笑いだした。 「これはすごい!自然に笑えて来る!」 「そうでしょう。但し一粒だけでは持続性がありません。ですが、この薬は飲めば飲む程、陽気になれて愉快になれて楽しい時間を持続できるのです。」 「それは願ってもないことだ。是非とも買いたくなった!幾らだい?」 「この薬瓶一本で5万円です。」 「ご、5万円!た、たか・・・」 「やめておきますか?」 「い、いや、あの、こうしたらどうだろう。例えば5粒だけ売るとか・・・」 「これはばらでは売りません。」 「えっ、そ、そんじゃあ・・・」 「どうします?」  翔平は散々迷ったが、作り笑いばかりして来た自分にとって今の自然に笑える心持ちを手放したくなかったから思い切って決断した。 「買うよ!」
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