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[ウィロー]
あなた達・・・ヘルズ・スクエアの人達が、もしも飢え死にしそうに困ったら、ヘブン・スクエアの方にやってくるんじゃないかって、それを怖がってる。〈壁〉を破って、攻め込んでくるかもって、それを恐れてる。
だから、ゴミ捨て場に色々な物をホイホイ捨てて、あなた達を宥めようとしている。
全く・・・ヒドイ話よね。ごめんなさい。私ったら、嫌われるわ。こんな事を言ったりして、無神経よね。
[マッシュ]
ドウピー(居眠り)じいさんがさ、面白い話をしてくれた事があるぜ。
昔々、ある村で、山からクマが降りてきては人を襲うから、村の人達はほとほと困っていたんだと。
調べてみたら、クマはただ腹を空かしていただけだった。山に食い物が少なくなってたんだな。
それで、村の人達は山の中にエサ場を作って、食べ物を置いてやる事にした。
そしたら、クマはもう、村にやってこなくなったんだとさ。
それと同じだな。俺達、ヘルズ・スクエアの人間は、そのクマみたいに思われてるってわけだ。こりゃ、傑作。
[ウィロー]
怒らないの?私達、ヘブン・スクエアの人間を憎まないの?
[僕]
大丈夫だよ、ウィロー。
いい物がたくさん手に入るんだから、いいじゃない。
好意だろうと悪意だろうと、そんな事を気にしてたら身が持たないよ。僕なら、いちいち物事に意味なんかくっつけて考えないな。
[マッシュ]
ヘブン・スクエアの人間って、本気でそんな事、心配してんのか?俺達が戦争でもおっぱじめるかもしれないって?さもなきゃ革命かよ?面白い奴らだな。
[僕]
一年ぐらい前にね。ヘル・マーケットに、薬一式がギッシリ詰まった、大きな箱が捨ててあったんだよ。
抗生物質も入ってたからね。クレイジー・グランマは泣いて喜んだ。
サイクロンの足が膿んで高熱が出ててさ。一日中、悲しみ団地の病室で唸ってたから。
[マッシュ]
俺達みんな、一生懸命に看病したんだぜ。
俺とエッグは、できるだけキレイな食べ物を手に入れようとしたし、ピーウィーは毎日、サイクロンの枕元で歌を歌ってやっていた。音痴だけどさ。あの歌じゃ、頭痛が酷くなる一方だったろうと思うな。
アイドルワイルは、本を読んだりお話を聞かせに、せっせと病室通いだし、エンジェルは何度も何度も、毛布を洗濯してやった。そりゃあ、大してキレイになんかならなかったけど・・・でも、がんばってた。
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