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サンシャインはのびちまうし、他の子達もバカスカ倒れて、ありゃ、何もかもが全部、容量オーバーして、頭がパンクしちまったんだろうな。
[ウィロー]
エッグは?エッグも倒れたの?
[僕]
ごめん。よく憶えてないんだ。
マッシュ
俺は、よく憶えてるぜ。あの時の事は絶対に忘れられない。頭に焼きついちまった。
エッグは・・・エッグは、辺りをちょっと見渡して、フウッて軽くため息をついた。まるで、他の連中が何をパニクッてんのか、まるでわかんないって顔でさ。
そいで、あっさり自分の肩に片手を回して、鉄の棒をグイって一気に引き抜いた。そいで、横にホイッて捨てた。棒はドライ・ボーンズ・アレーの泥道に突っ立って、フルフル揺れてたぜ。それも俺ははっきり憶えてるし、エッグの肩から、ドボドボ血が出てたのも憶えてる。
それなのに、こいつときたら、まだ慌てないんだ。倒れてるサンシャインの傍らに片膝ついて屈みこんで、彼女が怪我してないか見てやってた。そうだよな、お前。
[ウィロー]
痛かったでしょう、ものすごく。
[僕]
最初は痛みを感じなかったんだ。しばらく経って、やっと少し痛くなってきて、それがだんだんひどくなっていって、頭がグルグル回転しだして、目の前が暗くなってきてね。
フラッときた時、マッシュがガシッって抱きかかえてくれて・・・僕は気を失っちゃったんだ。
[ウィロー]
よく生きてたわね。
[マッシュ]
こいつ、その後でスゴイ熱だして、ぶっ倒れちまった。ひどかったんだぜ、本当に。
うんうん言ってうなされたり、痙攣したり。ありゃ、悪いバイキンが体に入ったんだな。
みんな心配して心配して・・・。情けないよな。だって、そうだろ?病室にはヘルズ・スクエア中の人間が集まっていたのに、苦しむエッグに何もしてやれなかった。例の薬も残り少なかったし、見守る事しかできなくて。俺、ずいぶん泣いたよ。苦しかった。
[僕]
僕も辛かったよ。体中がものすごく痛くて、頭がおかしくなりそうだった。
でも、いいじゃない。結局、僕は助かったんだから。
[ウィロー]
どうして?何でそんな事したの?
[僕]
わからないな。僕は過ぎた事は気にしないんだ。大事なのは今だもんね。
[マッシュ]
エッグはいつもこうなんだ。昨日もすでに過去、なんだとさ。
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