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あ、でも、その手はワイルド・キャットには使えないぜ。昨日、貸したハンカチ返せって言ってだぜ。洗濯しないで返してくれってさ。
[僕]
洗濯なんかしたら、かえって汚れるよ。ミザリー・リバー(みじめ川)もウェル(井戸)も、水が汚すぎるからねえ。
[マッシュ]
ブブ―ッ。大外れ。そんな理由じゃない。
ワイルド・キャットは、お前が触れた物は全部、自分の宝箱にしまい込んでるんだ。
あいつ、お前に夢中だからな。
[僕]
やめてくれよ。
マッシュ
何でだよ?誰かを好きになるって悪い事じゃないだろ。大事な事だ。
[僕]
相手がワイルド・キャットじゃね。あの子のオムツ替えてあげたの、憶えてるもの。
[マッシュ]
あいつのウンチはすごく臭かったからな。その時はまだ、赤ちゃんだったんだから、仕方ないけどさ。
お前、いつもオムツ洗い、引き受けてたもんなあ。
でも、そんな事、ワイルド・キャットには言うなよ。彼女、傷つく。
[僕]
わかってるよ。
[ウィロー]
あなた達って、なんかいいな。ヘブン・スクエアの人達とは、全然、違うもの。
[マッシュ]
へえー!こんなトンデモ生活、いいなんて初耳だぜ。お前、自分の言ってる事、わかってんのかよ?
[ウィロー]
うん。わかってると思う。わかってて言ってるの。
[僕]
まじめな話なんだね?
ウィロー
そう。まじめな話だわ、エッグ。ヘブン・スクエアの人達は何でも持っているように見えて、何も持ってないわ。
[マッシュ]
はあ?何だそりゃ、訳わかんねえ。
ウィロー、お前さ、やっぱり少しおかしいんじゃないか?
初めて会った時から、心配してたんだ。
ヘブン・スクエアで生まれ育って、あっちはこっちよりマシな地域なんだし、多分、お前は不自由ない生活してるんだろ?なのにガリガリで、まっ白けでさ。半透明人間みたいだからな。
具合悪くないか?大丈夫かよ?
[ウィロー]
うーん・・・。うまく話せないんだけど。
ヘブン・スクエアの人達は、何もしてないのよ。する事が無いのかな。一日がボーッとしたまま過ぎていく。家に閉じこもったままの事も多いわ。
七軒しか家がないのに、みんな知らない人みたいで、私、一人も友達がいない。
[マッシュ]
ウソだろ。信じられない。どうして、そんな事になる?
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