ヘルズスクエアの子供達~パートⅠエッグのお話

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 [ウィロー]  さあ。どうしてなのかな。まあ、私の事はいいわ。つまらないもの。それより、もっとヘルズ・スクエアの話を聞かせてよ。面白いから。 [マッシュ]  よくねえよ。  お前、まさか苛められてんじゃないだろうな。仲間外れにされてるとか?もし、そうなら、ズバリ言いな。俺、そういうの我慢ならないんだ。 [ウィロー]  そうなの? [僕]  少し前の話になるけどね。  キューティとドールが、仲間外しゲームなるものを、勝手にやり始めた事があったんだ。気に食わない子を無視したり、その子が近づいてきたら、わざとらしく逃げたり。クサイから来ないで、なんて悪口を言ったりね。 [マッシュ]  クサイなんて、バカバカしくて聞いてられるかよ。ヘルズ・スクエアじゃ、どこもかしこもクサイんだ。  キューティとドールだって、人のこと言えた柄か? [僕]  あの二人は軽い気持ちだったんだよ。これだけ子供がゴチャゴチャいたら、そりゃ、気に食わない子も出てくるしね。  二人のした事は、悪い事っていうよりも、間違った事なんだ。間違いは、もちろん訂正しなくちゃいけない。でも、誰だって、間違いはするじゃない。 [マッシュ]  俺は嫌だね。 [僕]  あのね、ウィロー。ブーブーがイジワルされてる所を、たまたまマッシュが見つけた事があったんだ。  大した見物だったよ。  真っ赤になって、右手にキューティ、左手にドールを引っ掴んでゴチン!頭と頭をゴッツンコさ。二人は、たちまち大泣きだ。  痛さからじゃないよ。  マッシュに「お前らなんて大嫌いだあ!」って喚かれたのがショックだったんだ。特にドールはマッシュの妹だからさ。尊敬している兄貴にそんな事を言われたんじゃね。 [マッシュ]  妹だから、何だよ?関係ないね。  俺はな、ブーブーの顔を見てたんだ。泣いちゃいないし、怒ってもいなかった。なんかこう・・・ボーッと辛そうって感じで、パールがインフルエンザにやられた時みたいだった。可哀想じゃないかよ。 [僕]  ゴツンとやられたのは、キューティとドールなのに、鼻血を吹き出したのはマッシュなんだからねえ。 [マッシュ]  頭に血が上ったんだ。 [僕]  血はすぐに止まったんだけど、量はけっこう多くてさ。  血だらけのマッシュが、ヘル・キャット・ロウのドロンコ道で、膝までヘドロに埋まりながら怒鳴りまくってんのは・・・いやあ、迫力の眺めだったな。 [ウィロー]  〈すごい見物〉がずいぶん多いのね。
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