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私はいじめられっ子じゃないわよ。
ヘブン・スクエアには、子供が五人か、たぶん六人ぐらいしかいないし、ほとんど会わないから。
大人達もせいぜい挨拶くらいで、お互い付き合わないんだもの。
[マッシュ]
それでお前、よく話し方をさ、忘れちまわないよな。みんなで遊べないなんて辛いよ。ワイルド・ビーだったら、気が狂うな。
[僕]
学校には行かないの?
ウィロー
学校はないわ。半年に一回、本国というか、本土の方から先生がやってきて、家を一軒ずつ回って教えるの。家庭教師ってこと。
でも、あなた達だって、学校には行ってないんでしょ?
[マッシュ]
プロフェッサー(教授)が、週に四、五回だけど、ルインズ(廃墟)で学校を開いてくれるんだ。
崩れかけた、元は倉庫だった建物さ。屋根は二年前に落ちちまった。
プロフェッサーは、六十になる歯抜けじいさんで、フガフガモゴモゴ、何言ってるのか、解りにくくて仕方ねえ。
だから、みんな何とか聞き取ろうと必死だ。鼻息すら押さえてさ。
クリスタルでさえ、一言だってオシャベリしない。普段は、口が五、六個ついてんじゃないかってくらいの、とんでもないオシャベリなのにな。
[僕]
先月は、野生動物について話してくれた。
今月は宇宙についての授業なんだ。
だから、マネーマネーなんかは、きっと毎日、ルインズに通い詰めるよ。這ってでも行くだろうね。マネーマネーは、星が好きなんだ。
[マッシュ]
読み書きや、簡単な計算は、スパンキーとレインが教えてくれる。
スパンキーはエンジェルのでかい方の兄貴で、レインはサンシャインの姉ちゃんなんだ.
俺達、けっこう頑張ってるぞ。
[ウィロー]
いいな。私は恐竜の事とか、すごく興味あるのに、誰も教えてくれないの。昔に、パパが恐竜について話してくれたけど・・・もう忘れちゃったから。
[僕]
家庭教師の先生に聞いたら?
[ウィロ]ー
先生は決められた事しか教えられないみたいよ。算数とか国語とかね。
[僕]
頼めばいいじゃない。恐竜について話して欲しいって。
ウィロー
頼めないな。だって・・・そんな親しくないしね。
[僕]
ふーん・・・。
[マッシュ]
恐竜の事なら、よーく知ってるぜ。俺も大好きだからさ。
プロフェッサーは特別に、二か月半も恐竜について話してくれたんだ。
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