0人が本棚に入れています
本棚に追加
おまけに、ラムネ二個半と黄色のチョークを一本あげて、やっと許してもらったんだ。
まあ、スワンプで溺れないでくれて、それだけでも良かったよ。
[僕]
まだ他にも、あげた物があるんじゃないの?
[マッシュ]
クソッ、何で知ってるんだよ、エッグ。内緒だぜ。キャンディの母さんに知られたら
「子供にそんなのまだ早いわ」とか何とか、俺が思いっきりどやされちまう。
[僕]
ピンクの口紅、あげたよね。三か月前に、ヘル・マーケットで見つけたやつ。だいぶすり減ってたけど・・・。
[マッシュ]
お前ってやつは、何でも知ってんだな。
でも、いいだろ。実際、キャンディは可哀想だったぜ。
他のみんなだって、うまく発音できないのは一緒なのに、笑われたんだ。辛かったんだから、特別なご褒美があってもいい。
キャンディのやつ、すぐにニコニコ顔になったぜ。
[僕]
まあね。それはそうだけど。
レインに気付かれないようにね、ご用心。
[マッシュ]
レイン?彼女はもう、口紅なんかにキャアキャアいう年じゃないだろ。俺より年上なんだからさ。
何言ってるんだよ、エッグ。レインは気にしないよ。
[僕]
口紅の事は気にしなくてもね。"マッシュがあげた"って所は、気にするかもしれないよ。
[マッシュ]
なんでだ?わかんないな。
[ウィロ]ー
アパ・・・アジャ・・・アパジャマ・・・
アパジャマザマウス?
[マッシュ]
パジャマだと?パジャマザマスっていったのか?何だそりゃ、ギャハハハ。
[僕]
アパトサウルスだよ、アハハハハ。
[ウィロー]
ちょっと、何、大笑いしてんのよ?笑い飛ばすのは良くない事なんでしょ?私も泣いて、スワンプまで駆けて行くわよ!
僕は今でも、あの時の事をはっきりと思い出せる。どんなに楽しく笑った事か。目に見えるように、鮮明に残る思い出。
ミザリー・リバーの真ん中。霞む月明かり。ゴツゴツしたロック(岩)に座る、僕ら三人。
大好きだった友、マッシュ。本当に好きだった。彼のあの笑顔。
ウィロー。ほっそりとした、まるで妖精の様に、掴みどころの無い美しさを持った、不思議な少女。
でも、今はどうしているかな・・・とは、あえて考えない。
彼等は僕の心の中に、あの時のまま生きている。あの時のままの姿で。それでいいんだ。
最初のコメントを投稿しよう!