ヘルズスクエアの子供達~パートⅠエッグのお話

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 ゆっくり深呼吸して・・・ふう、落ち着いたぜ。 [僕]  もう?やっぱり早過ぎだよ。怪しいもんだね。 [マッシュ]  大丈夫だってば!任せとけ。  そこで・・・だ。ウィロ―、俺はもう頭がスッキリしたから平気だ。話、続けな。 [僕]  君は、まだまだ動転してるよ。 [マッシュ]  うるさいな。冷静になっただけで悩みが解決するなら、誰も苦労しねえよ。  少しくらい慌ててる方が、勢いついていいのさ。 [僕]  そうかな。 [ウィロー]  私ね、ヘブン・スクエアで、おじさんとおばさんと一緒に暮らしてるの。 [僕]  父さんや母さんは? [ウィロー]  死んじゃった。 [マッシュ]  可哀想にな。  エッグ、お前、キツイ質問するなよ。 [ウィロー]  いいのよ。かなり前の事だから。  それに、両親は問題ある死に方じゃなかった。胃腸炎だったんだもの、仕方ないわ。  困った死に方をしたのは、おじいさんの方なの。 [マッシュ]  じいちゃんも死んじまったのか? [ウィロー]  年取り過ぎて、それで死んだの。病気とか事故とか殺人とか、そんなことじゃないわ。  私達、つまり私とおじさんおばさんは、おじいさんが建てた家にずっと一緒に住んでたんだけどね。なぜか死ぬ直前に、おじいさんは、私だけを部屋に呼んだの。  それで、宝の話をしたのよ。隠しているけど、お前にあげるって・・・。 [僕]  何で君に? [ウィロー]  知らないわよ!だから困ってるんじゃない。  おじさん達にあげればよかたのよ、大人なんだから。そうしてたら、トラブルはなかったわ。  それを、私にムチャ振りしたりして、バカみたい。 [マッシュ]  目上の人に、そんな言い方しちゃ、ダメだろう。じいちゃん、ばあちゃんってのは、頭いいんだぜ。大事にしなくちゃ。 [僕]  君のおじいさん、おじさん達の事が嫌いだったのかな? [ウィロー]  私には、普通のいい人達に見えるけど。両親が死んだ後、私を家に引き取ってくれて、ちゃんと世話もしてくれてるし。 [マッシュ]  そいで、今、お前は宝を狙う奴に追われてるって訳か。面白えなあ。  そいつら、誰なんだ?その悪者はよ? [ウィロー]  おじさんとおばさん。 [マッシュ]  はあ? [僕]  いい人達だって言ったクセに・・・。 [ウィロー]  いい人達よ、本当に。  でも、普通の人なのよ。宝物が欲しくて、頭おかしくなっちゃったらしいわ。  私に、宝の在りかをしっこく聞くの。
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