ヘルズスクエアの子供達~パートⅠエッグのお話

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 家のお金がなくなりかけてて、困ってるらしいわ。ヘブン・スクエアに対する本国の援助が打ち切られる・・・とかなんとか、よくわかんない。  とにかく、宝物がどうしても必要らしいの。  宝の隠してある場所を教えろ教えろって、私にガミガミ言ってばかり。もう嫌だわ、本当に嫌。 [マッシュ]  ひっぱたかれたりしたのか? [ウィロー]  まさか、そんな事はしないわよ。  でも、毎日毎日「教えてくれ、頼むから、教えてくれ」なんて言われ続けたら、誰だってウンザリするでしょ。  育ててくれてる人にそんな事ばっかり言われたら、どう?家に居られないわ。  おばさんはおばさんで「お願い、お願い」なんて、私の顔を見る度に泣いてばかりだし。 [僕]  それじゃ、確かに堪らないね。辛いよね。僕だって、家出するだろうな。 [マッシュ]  秘宝の隠し場所か・・・。  おじさんとおばさんは、そいつを知りたい。  お前は教えたくない。  つまりは、そういう事なんだな? [ウィロー]  勝手に決めつけないでよね!  教えてあげたわよ、もちろん。 [マッシュ]  ・・・。  ちょっと待ってくれ。またわからん。 [ウィロー]  宝の場所を教えずに、独り占め?  私が、そんなにケチンボだと思う? [僕]  そう言われても・・・  僕には何がなんだか、さっぱり解らないんだけどね。 [マッシュ]  よかった。解らないのは俺だけかと思ったぜ。自分が間抜けだなんて、思いたくないもんな。 [ウィロー]  教えたくても、出来ないのよ。  知らないんだもの、宝の在りかなんて。 [マッシュ]  はあ?何だよ、どういう事なんだ?この話は、一体、どこに向かってるんだ?俺には、全然みえてこねえよ。 [僕]  おじいさんから聞いたって、そう言ってたじゃない。そうだよね、確か。  宝の隠し場所を、君だけに教えたんでしょ。 [ウィロー]  あなた達ときたら、解りが悪いんだから。  おじいさんが言ったのは、正確にはこうなの!  「隠された宝物・・・ダイヤ百個・・・お前にあげよう・・・庭で・・・一時間・・・」  それでお終い。 [僕]  続きは? [ウィロー]  無いわ。おじいさん、そこまでしか言わなかったの。 [マッシュ]  暗号になってねえじゃん。それだけで、どうしろってんだよ? [ウィロー]  私に言わないでよね。おじいさん、そこで死んじゃったんだもの。仕方ないじゃない。
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