ヘルズスクエアの子供達~パートⅠエッグのお話

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 まず、ヘル・マーケット(ヘブン・スクエア用語で言えばゴミ捨て場)から、ウネウネと曲がりくねって続いていく、夜目にも真っ白な道。ヘルズ・スクエアからはとってもキレイに見えたその道が、実は、ひび割れて穴だらけのコンクリート舗装の上に、キラキラのラメが入った白い小さな石を、ぎっしり敷き詰めて作られていたんだ。その石ときたら、ツルツルしていて、角が一つ残らず尖ってる。  ウィローは靴を履いてたから、まだ少しは楽なはずなんだけど、それでも、かなり歩きにくそうだった。華奢な黒いエナメル靴が、石ころの上でやたらと滑るもんだから、彼女は、ひっきりなしに足をひっくり返してばかりでね。足首を相当、痛めたに違いないんだ。  まして、僕とマッシュは裸足だ。どんな情けないハメに陥ったか、想像がつくだろう?    第一、なんで山道みたいなクネクネしたデザインにする必要があったんだろう?ホープ島は、どこもかしこもまっ平なのに。  オシャレに見えるとでも思ったのかな?それとも、その方が広々して感じられると考えたのかもしれない。  これだけは、断言できる。  この道は、人か歩くために作られたものじゃない。だって、まともに歩けないんだもの。 だったら、道じゃないんじゃ・・・? [マッシュ]  ヘルズ・スクエアのヘドロ道が恋しくなるとは思わなかったぜ。少なくとも、痛くはないからな。 [僕]  臭くて不潔で、ネチョネチョだけどね!  痛いとすごく疲れるんだって、わかった。  ちょっと止まってくれないかな。一息つかなきゃ歩けないよ。ヘルズ・スクエアじゃあ、いつも駆けっこ一等賞の僕なのになあ。 [ウィロー]  スポーツ出来るの?どんな遊びをするの? [マッシュ] 『足跡鬼ごっこ』をしたら、エッグに敵う奴なんていないぜ。 [ウィロー]  何、それ? [僕]  まず鬼役の子に、みんなが、こんな風に叫ぶ。「ワイルド・ビーを探せ!」とかね。  それで、みんな、一目散に逃げ出すんだ。  鬼は、ヘドロに残った沢山の足跡から、ワイルド・ビーの足跡を見分けて追跡していく。  ヘルズ・スクエアならではの遊びだよね。 [ウィロー]  裸足の足跡なんて、みんな一緒じゃない。どうやったら見分けられるのよ。 [マッシュ]  みんな一緒じゃないからさ。  例えば、ワイルド・ビーは小指の横にマメができてるから、足跡はすぐわかる。
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