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ドウピーマザーは、あと一か月で百四歳になるんだぜ。百年あれば、何もかも変わるさ。
ところで、ドウピーマザーの誕生日プレゼント、準備は順調にいってんのか?
責任者はクリスタルだけどよ。あいつは、手より口ばっかり動かすからな。
[僕]
あとちょっとで編み上がるよ。
今週の当番はマネーマネー。次がレイン。それからハッピー・ベビーの番だけど、あの子には、誰かが手を貸してやらなきゃいけないな。サンシャインがしてくれる予定だけど、念の為にもう一度、確認しておくよ。
仕上げの房飾りは、ブーブーがつける。それで、ステキな指編みマフラーが出来上がり。
[マッシュ]
毛糸を集めるのは、ホント、苦労したぜ。
ヘル・マーケットで、一年半もねばったのにさ。長さも色もマチマチなのしか落ちてねえし、ヨレヨレだったりほつれてたり、毛玉が出来てたり、もつれててたりさ・・・ま、もともと捨ててあるヤツなんだから、当たり前だけど。
奇跡的にキレイなのを見つけたら見つけたで、ワイルド・ビーがベタベタの手で触って、毛糸もベタベタにしちまうし・・・。
[僕]
まだ小さいんだからね、仕方ないよ。
それに、色も太さもマチマチの、そんな毛糸で作るから味が出るんだよ。虹みたいに色彩が混ざり合って、とてもキレイだもの。
オールド・ドウピーマザーは、きっと大喜びしてくれるさ。
[マッシュ]
お前、幸せなヤツだよな、エッグ。何でもいい方に考えられるんだから。
[ウィロー]
それでも、やっぱり悩んだりとかする?
[僕]
そりゃ、悩む事もあるよ。誰だってある。
そういう時は、みんなミザリー・リバーに出かけるんだ。あそこに行くと、気が楽になるから。
[ウィロー]
ヘドロの川なのに?とんでもない臭いがするのに?
[僕]
変だって思う?
[ウィロー]
正直、思うわ。
ここみたいにキレイな川なら、見てて心が安らぐはずよね。でも、誰も訪れない。
なのに、あなた達は、汚いドロドロ川に出かけると気が楽になるって?
わかんないな、全然。
[マッシュ]
ミザリー・リバーの真ん中に、大きくて平らな岩がある。みんなロックって呼んでる。
[ウィロー]
ウフフフフ・・・。そのまんまね。
[僕]
確かにそのまんまだけどね。
でも、ロックはただの岩じゃない。特別な場所なんだ。
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