ヘルズスクエアの子供達~パートⅠエッグのお話

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[ウィロー]  通りらしい通りって作られてないの。名前もついてない。 [マッシュ]  それはどうでもいいんだよ。俺が聞いてるのは・・・。 [ウィロー]  何、怒ってんの? マッシュ  怒ってんじゃねえよ。冷静さを失ってるだけ!ここまできて、遂に脳みその回路が吹っ飛んだぜ。  お前の町、変だぞ。思いっきり・・・。 [ウィロー]  何よ? [マッシュ]  いや。悪かったな。言い過ぎたよ。 [ウィロー]  そこまで言ったんだから、全部ブチまけちゃいなさいよね。 [マッシュ]  口に出すべきじゃなかったんだ。自分の町の悪口を言われたら嫌だよな。傷ついただろ。 [ウィロー]  別に。大丈夫よ。私も、こんなの好きじゃないもの。 [マッシュ]  ナント、お前もかよ。  そうだよな、なんか暮らしにくいもんな。もっとも、ヘルズ・スクエアだって暮らしやすいとは、絶対に言えないけどさ。 [ウィロー]  変でも何でも、仕方ないわ。  これ、全部を作ったのは私のおじいさんだもの。おじいさんも変な人だったから、きっと町も変なのよ。 [僕]  ちょっと待った。君のおじいさんって、あのおじいさん?ダイヤ百個の? [ウィロー]  私、好きじゃなかったわ。イジワルとかそんなのじゃなかったけど、いつも近づかないでくれオーラ出してる感じで。岩に向き合ってるみたい。話をしても、壁と話してるみたいな風?聞いてくれないとかじゃないんだけどな・・・多分、私の事も誰の事も、興味がなかったんじゃないの。妙な人だったわ。  [僕]  そのおじいさんが、町を作ったんだね? [ウィロー]  作ったっていうより、色々、整えたのね。 [マッシュ]  作り物の木や草で?リノリウムの道も?  言葉が悪いけどさ、お前のじいちゃん、バカだったんじゃね? [ウィロー]  そうだったのかもねえ。 [僕]  ヘブン・スクエアの他の住人は、反対しなかったの? [ウィロー]  よくわかんない。 [マッシュ]  えらく簡単に片づけんな。気にならないのかよ? [ウィロー]  ほとんど誰とも会わないもの。  多分、町がどうなろうと誰も気にしなかったのよ。 [マッシュ]  へえ・・・。 [僕]  ねえ、ウィロー。  さっきの川も、おじいさんが作ったの? [ウィロー]  どうでもいいじゃない。  私、おじいさんの事、あんまり知らないんだもの。 [マッシュ]  ずっと一緒に暮らしてたのに? [僕]  思い出してよ。 [ウィロー]  うーん・・・。
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