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[ウィロー]
池の中には、何もないわよ。おじさんが、水底をすっかり浚ったし、金魚も割って調べたし、濾過装置の中も徹底的に見たもの。
[マッシュ]
濾過装置?
[ウィロー]
前に話したでしょ。ゴミや汚れを取り除いて、水をキレイにする機械よ。
[マッシュ]
それぐらい知ってるさ。 どこにあるんだ、それ?
ウィロー
池の下。地下よ。パイプで水を吸い込んで、キレイにして、また戻すの。
[マッシュ]
人工の物って、色々と大変だな。手間暇かけて作って、それを保つのにまた手間暇か。
さあ、どうする、エッグ?
俺はてっきり、お前がシャベルやカナヅチや爆弾なんて使ってさ、この庭の隅から隅までブッ壊して調べると・・・そう思っていたけどなあ、ハハハ。
手始めに、この木を引っこ抜いて、細切れにしちまうか?ダイヤが転がり出てくるかもしれないぞ。
[僕]
僕はそんな事はしないなあ、マッシュ。ムダな努力はしない主義でね。
庭は、おじさん達が、全部ひっかき回したはずだよ。
そうだよね、ウィロー。
[マッシュ]
じいちゃんの遺言を無視してか?庭をいじるなって、そう言いつけたと思うけど?
[僕]
よしんば、神様の言いつけだったとしても、やっぱり掘り返しただろうね。
暗号の意味がわからないなら、運まかせにやるしかないからね。
[ウィロ]ー
おじさん達ときたら、まるでゴーファみたいに穴を掘りまくっていたわ。
芝生は引っ剥がして一本一本調べるし、木は真っ二つに割って中を見る。地面だって、ジワジワ海水が染み出してくるまで深く掘り起こしたのよ。
でも、何も無かった。
散々、とっ散らかしたあげく、遂に諦めてね。
芝生を敷き直して、木は接着剤で元通りにくっつけたの。
直すの、簡単だったわ。自然の物はいったん壊したら、そう簡単に元には戻らないけど、人工の物は楽ね。
[僕]
ペン持ってるかい、マッシュ?
[マッシュ]
持ってる。いつだって持ってるさ。役に立つからな。
[僕]
ここに印をつけてっと・・・。これでいいはずだ。
[マッシュ]
たぶんな。あとは一時間・・・。
[僕]
さすがだね、マッシュ。その通り。待つだけだ。
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