ヘルズスクエアの子供達~パートⅠエッグのお話

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 五段目の、どのタイルから始めようか。ウィロー、おじいさんなら、どのタイルの下に隠すだろう。真ん中のタイルかな? [ウィロー]  わかんないわよ、そんなこと。知るわけないでしょ! [僕]  うーん・・・ちょっと待ってよ・・・。 マッシュ  待たねえよ。  謎なんてさ、隅から隅までキッチリ解けなくたっていいだろう? ある程度メドがついたら、適当にやってりゃいい。  目についたやつから、バンバン剥がしちまえ。五段目って所だけ間違えなきゃ、なんとかなるさ。  ウィロー、なんか道具はねえか? [ウィロー]  シャベルが一本と熊手があるわ。小さいやつだけどね。 [マッシュ]  プラスチックの庭で、シャベルなんていらないだろうが? [ウィロ]ー  飾りよ。 [マッシュ]  ヘブン・スクエアの連中って、やっぱり理解不能だな。  どこにある? [ウィロー]  私が取ってくるから、あなたは引き続き見張ってて。おじさん達、起きてくるかもわかんないし。  それに、もっとコソコソ声で話してよね!  あなた、この状況がわかってんの?  いよいよ、宝が出てくるかもしれないってのに、そんな大声出して、誰に聞かれるかわかんないわ! [マッシュ]  はあ?別に俺は大声なんて・・・。 [僕]  二人とも、もう少し静かにね。興奮しすぎだよ。 [マッシュ]  だって、面白いんだもんな。  でも、いい。わかったよ。俺はここにジーッと座って、うーんと大人しくしてるさ。いい子だろ? [僕]  タイル剥がしの作業は、僕にやらせる気だね?  予想はしてたけど、予想よりはるかに簡単だった。  カチン、カチン、カチン。タイルの周りのセメントに、軽くシャベルを入れただけで、すぐにピシッとひびが入って、タイルがポロリと落ちた。その下には、面白いほどもろいボロボロのセメント。  一つ目のタイルの下には・・・何も無い。  二つ目のタイル、そして次のタイル。いずれも、楽に剥がれ落ちていく。  運も良かった。三枚目のタイルの下に、もう当たりが出たんだ。  タイルの下のセメントに、二十センチ四方くらいの四角い穴が掘られていて、中に何かある。小さい革の巾着袋。口はきっちりと結ばれていて、正直、タイルより、濡れて固くなった結び目にてこずってしまった。妙にズレた所に苦労する。よくある話だけどね。  散々、手間取ったたあげく、ようやく袋の口が開いた。小さな粒がいっぱい入っている。
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