ヘルズスクエアの子供達~パートⅠエッグのお話

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 ダイヤ百個っていうと、ものすごいお宝に聞こえるけど、サイズがとっても小さかったから、あんまり感激しなかったなあ。  袋は片方の手の平にポンと載ってしまうし、しかも軽い。中を覗いても影が多くて、よく見えない。  なんかこう・・・拍子抜けした気分だった。  マッシュとウィローも、小首を傾げていた。あんなに大騒ぎしたのは、この為?こんな、ちょっとした物の為に?そんな感じだったよ。  僕らは顔を寄せ合って、もっと袋の中身をよく見ようとした。  けれど、当然ながら、そうやってくっけばくっつく程、見えにくくなる。 [マッシュ]  ここでじっくり観察するのは無理だ。まだ暗くて、何にも見えやしない。  それに、夜明けも近いはずだ。  朝の光の中、ここで三人、間抜け面で突っ立ってるなんて、どう考えたってヤバいだろ。 [僕]  落ち着いて隠れられる場所はないのかな。  ウィロー、どう思う? [ウィロー]  ええ、あるわよ、エッグ。  最高の場所、ピッタリの場所が。 [マッシュ]  どこだよ? [ウィロー] ロックよ。 [マッシュ] ロックだあ? [僕]  よく考えてね、ウィロー。ロックは、ヘルズ・スクエアにあるんだよ。本当に行きたいの? [ウィロー]  ええ、本気よ。 [マッシュ]  なんで? [ウィロー]  うまく言えないけど、行くべきだと思うの。  ロックでなら、本当のあなた達が見える気がする。  それに・・・私、なんか少し泣きたい気もするから。  とにかく行ってみたいのよ。理由なんてどうでもいいでしょう? [僕]  わかったよ、ウィロー。それ以上、もう何も言わなくていい。 [マッシュ]  質問はもう無しだな。  そうだよ、お前の言う通りだ。  俺達はロックに行くべきなんだ。  僕らはこうして、ヘルズ・スクエアへと戻っていった。作り物のイタイ町から、去っていく。もう二度と、ヘブン・スクエアに行くことはないと、僕にはわかっていた。  ヘルズ・スクエアの、腐ったヘドロ道に足を踏み入れた時、あの時ほどホッとしたことはない。  僕が暮らすのは、ヘルズ・スクエア。僕の全てがここにある。色々マズイ所はあるものの・・・僕はそこで生きていくことを望んでいる。  
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