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もっと大きくなってから・・・僕が決心したその時に。でも必ずそうなるんだ。
一人でここを出て、別な場所で、自分の力だけで生きていく。理由なんか無い。僕は、そうしなきゃいけない。やってみたいんだ。
[ウィロー]
じゃあ、なおさらダイヤがいるでしょう?役に立つわよ。
[僕]
その通りだろうね、ウィロー。役には立つだろう。
でも、僕はいらない。
[ウィロー]
どういう事よ?
一人で生きてみるなんて、あなたは何にも持ってないのに、苦労するわよ。ダイヤがあれば、楽にスタートできる。
[僕]
楽にスタートしたくないんだよ、ウィロー。自分の力だけで、やりたいんだ。
[ウィロー]
後悔するわよ。
[僕]
そうだね、君の言う通りだろう。
ああ、ダイヤ貰っておけばよかった・・・と思う事もあると思うよ。
でも、そう度々じゃないはずだ。そんな風に思わない生き方をするつもりだからね。
[ウィロー]
なら、ヘルズ・スクエアの他の人達にあげればいいじゃない。そうすれば、あなたが島を出た後も安心でしょう?
[僕]
いや、ちっとも安心じゃないよ。
ダイヤ百個ってすごく見えるけど、でも、何にも変えられやしないよ。
ヘルズ・スクエアを変えたいなら、そこに住む人一人一人が、自分の力で変えなくちゃ。
例え、どんなに時間がかかっても。少しずつでも。
苦労しても報われないかもしれないよ。それでもいいじゃない。
[ウィロー]
お金がなきゃ、何も出来ないでしょう?
[僕]
出来ないなら、変えなきゃいいよ。ありのままを受け入れる手もあるんだ。
ダイヤ百個があればヘルズ・スクエアが救えて、無ければ何もできない?
僕はそんな風になって欲しくないんだ。
ワイルド・ビーにもマネーマネーにも。クリスタル、サンシャイン、ピーチにも。ワイルド・キャット、エンジェル、キャンディ、ピーウィー、グリーンタン、サンダーキッド、パンプキンにスノー・ホワイト・・・全員だとキリないね。
僕の大切なあの子たち・・・。
どの子にも、そんな風になって欲しくない。
ウィローはワッと泣き出した。
でも、僕やマッシュのせいで泣いたんじゃないと思う。ダイヤが原因なのでもない。
何年も何年も、ずっと我慢していた涙が一気に溢れた、そんな感じだった。
だから、僕とマッシュは、無言でそのまま立ち続けた。
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