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ロックでは、彼女も好きなだけ泣いていい。時にはそれも必要なんだ。
海も空も太陽も輝いている。何もかも美しくみえた。
僕は、ただただ一つの思いを繰り返す。
ああ、マッシュ。大好きなマッシュ。
君は、解ってくれるだろうか。受け入れてくれるだろうか。怒らないかい?泣かないよね。許してくれるだろうか。僕がいつか出ていく事を。君と別れて。
マッシュ・・・。僕はそうしなきゃいけないんだ。どうしても。どうか解って・・・。
口には出せなかった。声にならなかった。
でも、マッシュには聞こえたんだ。
彼は僕を見て、優しく静かに笑った。
僕は決して忘れない。全てを理解して受け止めてくれた、あの暖かい微笑を。僕は一生、忘れる事はないだろう。
背後で、ウィローが立ち上がった気配に、僕達は振り返った。
ウィローは、ダイヤを拾い集めて、元の皮袋に戻していた。僕とマッシュを見て、少し恥ずかしそうに笑った。目の縁が赤く腫れていたけれど、さっぱりした顔だった。
[ウィロー]
あなた達は二人とも、ダイヤはいらない。そういうわけよね。
ところが、実は、私もいらないの。
[僕]
どうして?
[ウィロー]
欲しくないのよ。
[マッシュ]
なんで?
[ウィロー]
多分、呆れられるでしょうけど・・・。
私は、まだ、子供だからよ。
ダイヤ百個をどう使ったらいいかなんて、そんな事わからない。考えられない。
自分の為に使う?人の為?地球の為とか?
そんな重い事、決めたり責任取ったりなんか出来ない。
私は、もう少し、普通の子供でいたいの。バカみたいだと思う?
[マッシュ]
思わねえよ。それでいいのさ。
[僕]
その気持ち、よく解るよ、ウィロー。
僕もそれでいいと思う。
[マッシュ]
それで?そこの、それ。ダイヤはどうするんだ?
[ウィロー]
おじさんとおばさんに、あげちゃおうかな。
[僕]
それがいいんじゃない。
[マッシュ]
お前にイジワルしたヤツにあげるのか?
[ウィロー]
ダイヤ欲しさでオカシクなってただけだものね。本当はまずまずで、悪くはない人達なのよ。
[僕]
なんか変な気分だよ。
最初にダイヤの事を聞いた時は、すごい事が起こる気がした。
でも、今は違うんだ。
ダイヤ百個っていっても、たいした事じゃないんだね。
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