父の複雑な胸中

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父の複雑な胸中

先ほど夢香が抱えていた、明るい黄色の花束が、まぶたの裏でまぶしく光る。 確か薔薇の花言葉は、「あなたを愛しています」だったはず。 私はスマホを開いて検索した。 「薔薇 花言葉」 ヒットした画面の文字に目を落とす。 「薔薇は色によって花言葉が違います」 ふむ。では黄色は……。 「黄色の薔薇の花言葉は『ジェラシー』です」 私は思わず苦笑した。 ジェラシー? ああ、感じているとも。 娘が帰ってきたら、何食わぬ顔で「お帰り」と言ってやろう。 そうだ、そのうち彼氏を家に連れて来させねばなるまい。 涼がどんな顔して我が家の玄関をくぐるのか……、 私は今から楽しみである。 (おしまい)
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