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「何にしようかなあ。薔薇の花もいいなあ……」
「それ、夢香が欲しい奴じゃん」
「えへ、ばれた?」
「まあ、いいんじゃない」
「黄色い薔薇にしようかな。ビタミンカラー! 元気になれそう」
夢香はレジに並び、黄色の花束を購入した。
「お父さん、喜んでくれるといいね」
「うん。ねえ、帰りにケーキ屋さん寄ってもいい?」
「ああハイハイ。ケーキ屋さんね」
私はそっと目じりをぬぐった。
やはり彼氏より父親か、うむ。
夢香はまだまだ、そうなんだろう。
私はとても寛大な気持ちになって、ふたりの背中を見送った。
少し時間を置いてから、駐車場の車に戻る。
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