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気がつくと同級生の立花レインくんの家の前に立っていた。彼は幼稚園の頃からの幼なじみだ。スマホを握りしめて。さっきはフワフワと浮いているような感じだったけれど、今は地面の固さを感じている。
スマホをタップして、時間を確かめた。朝の五時。あの遣いだという人が言ったことが本当なら、タイムリミットは五時二十分だ。その時間にアラームをセットした。
ガチャ
予定していたかのようにレインくん家の玄関が開いた。紺色のジャージ姿のレインくんが出てきた。胸が高鳴った。
「え、うるう? なんで……」
レインくんが驚いたような声で私に聞いた。
なんでって……。
「え、ちょっとね……レインくんに会いたくなっちゃって」
手汗が凄い。
「でも、久しぶりだよね。うるう、お前さ、なんかちっと痩せたんじゃねえ?」
レインくんの冷たくて大きい手のひらが、私のオデコに触れた。耳たぶがカアッと熱くなる。
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