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10分後
俺は椅子に座りながら女の話に耳を傾けていた。
そして、話が終わる頃には俺のかおは真っ赤になっていた。
幾ら酔っていたとはいえ、無様な姿を繁華街で晒してしまったとなるともう、しばらくはいけない。
真っ赤になる俺と反対に淡々と話す女に余計羞恥心がわいた。
「本当にすみません・・・」
深く頭を下げる俺に女はクスッと笑い、立ち上がった。
「大丈夫ですよ。泥酔するなんて社会人ならよく起こることですよ。年を重ねるうちにきっと健康な生活にもどるはずです。」
女は立ち上がり、俺に質問した。
「私の店によっていきませんか?」
「え?」
「すみません。図々しいとは思っているんですが、私の仕事は悩みやストレスを抱えてらっしゃるか手向けの仕事なんです。」
俺は少し頭を悩ませた。
女の経営する店を試してもいいかと思ってはいたが、話していくうちに不信感が和らぐと言うわけでもなかった。
けど
「・・・お願いしていいですか?」
女は頷くとついてくるように指示し、店の奥へ歩き出した。
そして、重みがあるドアの前で立ち止まる。
「この中に私の仕事場があります。」
仮面の奥でニコッと笑う女。けれどその笑みはなぜか怪しげにも見えた。
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