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夢中~ユメナカ~
「もしもし・・・今私は貴方の無意識世界にこうして呼び掛けております・・・聞こえますか?」
女の声が徐々に大きくなり、次第に耳元で聞こえ始める。
俺はゆっくり目を開けた。
目を開けたさきは、先ほどの部屋ではなかった。
あるのは俺が横になったベッドとその真横にいる女だけ。
辺りは壁などはなく、薄いピンクの靄が辺りを覆っていた。
「おはようございます。」
代わらぬ口調で話しかける女に俺は会釈をしながら質問する。
「ここ・・・どこですか?」
「ここは、貴方の無意識世界です。そして、ここにある靄はあなたの煩悩を表しています。」
「無意識世界と言ってもピンと来ない・・・」
俺はベッドに手をつき、その地面へと立ち上がった。
しかし、それを女が押し止める。
「え?」
「ダメです。あなたのこの靄がすべて晴れたとき、貴方は最高にリラックスした状態となります。」
「立ち上がると逆にストレスがかかってしまいます。」
そう言われ、俺は再びベッドに戻る。
すると、辺りが暗くなった。
「では、私流のリラックス法を試させていただきます。」
俺は目をつぶる。
「貴方はきっと仕事もできる素晴らしい男性なんでしょうね。」
女は言う。
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