夢中~ユメナカ~

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これは・・・誉められているのか? 女は続ける。 暗闇のなか、彼女の声に耳を傾けた。 「貴方は小さい頃からきっと責任感の強い人だったのでしょう。それがよくわかります。」 「・・・ありがとうございます。」 「でも、世間は貴方がここまで成し遂げてきたことを認めようとはしない。」 「でも、きっと、わかっているんです。貴方には他の誰にもない才能がある。」 まるで夢心地だった。 ここまで俺のことを認めてくれる人がいるなんて。 それも見ず知らずの俺に。 心が暖かくなった。 やがて何分間も誉め殺しにされたあと、再びまぶたが重くなった。 「これでセラピーは終わりです。では、次に目が覚めたときに」 いつの間にか靄は晴れていた。 そして、俺は目をつぶる。 目が覚めた。 けど、 「体が・・・」 動かない。動かない! 俺は軽くパニックになる。 体が麻痺したように動かない。 それどころか、唇も痙攣しかけている。 「どう言うことだ!」 思わず叫ぶ。 すると、スピーカーから 「あはははははは!」 まるで相当愉快なものをみるかのように 女が狂った笑い声をあげた。 「あんたにそんなはなし似合うと思ってるの?嫌われものの癖に!」 「でも、大丈夫。私がいるわ・・・一緒になりましょう!」 体から尋常じゃない汗が吹き出した。
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