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そこでふと古文書に書いてあった一文が頭を過る。
聖女たちは皆、ここへ来る直前、鐘の音が耳鳴りのようび響いたのだと。
ハッと我に返ると、ある結論達しった。
もしかして私が聖女?
いやいやいや、ありえないでしょう。
それに……私は聖女を見つけてクリスとの婚約を取り消すつもりだった。
その聖女が私だと知ればきっとがっかりするよね。
どうしよう、そんな事を考えがら一限目の講義を受けていると、鐘の音がどんどん大きくなり頭に響く。
このまま本当にあの世界へ戻るかな……そう気持ちが焦ってくる中、私は鳴り響く音に外の空気を吸おうと、屋上へやってくきた。
すると視界の先にフェンスをよじ登り、飛び降りようとする女の姿が目に映る。
条件反射に私は彼女の傍へ駆け寄ると、そのまま強く腕を引き寄せた。
「何をしてるの!?危ないでしょ!」
便底眼鏡が傾き、その隙間から涙がポロポロ落ちていく。
すすりなく彼女の背をさすると、そっと顔を持ち上げた。
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