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帰ってきた場所
目覚めるとそこは見覚えのある聖堂。
ひんやりとした懐かしい空気、そして匂い。
辺りには誰もいないが、天井にある鐘がリンゴンと鳴り響いていた。
隣を見ると、ぐったりと横たわる彼女の姿。
先ほどの眼鏡は衝撃で落ちたのだろうか、レンズが粉々に慣れていた。
私は咄嗟にその眼鏡を拾うと、レンズを取り除き、かけてみる。
さらに表情を隠すように髪を前へとたらしてみた。
そんな事をしていると、ギギギッと音と共に聖堂の扉が開く。
そこにはよく知る顔が並んでいた。
最後に会った姿と同じクリストファー、その隣には剣を腰に差したリチャード。
その後ろには王都の神父に、メイドや執事の姿。
「ようこそ聖女様。ってなんだ、……ふっ、二人!?」
驚くクリスの姿を眺めていると、隣に倒れていた杏奈がゆっくり体を起こす。
そういえば……聖女様ってこっちの言葉を最初から話せるって書いていたはず。
それなら私の日本語も変わってしまうのかな?
試してみよう。
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