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『やっほー、こんばんはー』
そう日本語を意識しながら話してみると、彼らは困った様子で首を傾げていた。
その反応にどうやら言葉は通じていないようだ。
「あれ……里咲さん?あの私は……ここはどこですか?」
彼女の言葉は私の耳に異世界言葉として耳にとどく。
どうやら言葉は勝手にこちらの言葉に翻訳されているようだ。
だけど私はされていない、それはきっとこちらの言葉をしり、そして使い分けができるからなのだろうか。
私はニッコリ笑って杏奈に顔を向けると、日本語で話しかけた。
『よかった気が付いたんだね。えーと、突然ごめんね、最近はやりの異世界転移にあなたを巻き込んだの。とりあえず今から返事は頷くか、首を横に振るだけにしてね。あなたには私の変わりにこの世界の聖女になってもらいたいの。目の前にいる彼らから、ここへ来る前に音が鳴ったか?そう聞かれたら鈴の音がと答えてね。後は適当に生活してくれたらいいよ。盛大なもてなしをしてくれるだろうし、一度捨てた人生ここでやり直せばいい。私の事は一切話さないでね、話せば……あなたの居場所がなくなっちゃうよ』
そうニッコリと笑みを浮かべると、彼女は放心状態だ。
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