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「異世界……こんな漫画みたいなこと、嘘よ、えっ、えぇぇ!?現実なの……?」
「話しているところすまないが、少しいいか?」
その声に彼女は顔を上げると、クリスがゆっくりと腰を下ろす。
「異世界から二人召喚された話は聞いたことがない。だが君たちのどちらかが本当の聖女だ。ここへ来るときに何か聞こえたか?」
彼女は戸惑いながら私へ視線を向けると、その姿にコクリと深く頷いてみせる。
「……あの……鈴の音が……」
「君は?」
クリスはこちらへ顔を向けると、そう問いかける。
私はその言葉に首を傾げると、日本語で話してみせた。
『久しぶり、全然変わってないね。こっちは私が消えてあまり時間がたってないのかな?』
「こっちの女は言葉がわからないな。なら聖女はこちらの女か」
彼の言葉に私は頭を下げると、ニヤリとほくそ笑んだ。
よしっ、これで聖女になる道はなくなった。
でも私はどうなるんだろう、今まで聖女が二人やってきたいう記録はないはず。
だけど野放しにも出来ないよね……。
そう悩んでいると、いつの間にか話は進み、彼女は聖女として城へと迎えられていった。
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