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私はというと、顔なじみであるリチャードに連れられ、城から離れた北の塔へ案内される。
北の塔へは初めて来た。
以前暮らしていた時は城から眺めるだけだったから。
塔の中は案外広く、天辺に小さな部屋が用意されそこが私の部屋となった。
「君は今日からここで生活してもらう、っと言ってもわからないか……」
リックが必死に身振り手振りで伝える姿に、私は必死に笑いをこらえると、深く頷いて見せる。
そしてこの世界で、二度目の人生が始まった。
用意される料理はどれも懐かしくて美味しい。
それに何にも縛られず、こうやって塔にこもっているのもなかなか楽しい。
まぁ……二人と昔のように話せないのは寂しいけれど……。
出入りだって自由だし、城の敷地内ならどこへ行っても大丈夫。
そしていずれは、エリザベスの時には叶わなかった、外の世界を見に行きたい。
私は塔の上から遠くに広がる森を見つめると、想いを馳せた。
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