始まりの足音

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「はぁ……またか」 「きゃぁっ、エッ、エリザベス様!?申し訳ございません。あの……私は……その……ッッ」 女は肌を隠すようにシーツを持ち上げると、慌てふためている。 隣にいる上半身裸の男は、なだめる様に女の髪をなでたかと思うと、平然とベッドから立ち上がった。 「リサ、また追いかけられているのか。まったく今日はどうしたんだ?」 「クリス、毎度お楽しみのところごめんね。手芸なんて鬱陶しくなったから、部屋を抜け出して、図書館に行ったの。でねぇ、そこで面白そうな古本を見つけたのよ。それでちょっと下準備をしてたんだけど……そんなことをしてたら、メイドに見つかって、あれよあれよと騎士たちに追い回されて大変だったの」 そう話すと、また深いため息が耳にとどく。 この男は私の婚約者、第一王子クリストファー。 幼いころ親が決めた婚約者……けれど婚約者というよりも、友人といった方がしっくりくる。 だからこうやって王子が令嬢と寝ていてもなんとも思わないわ。
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