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「ごめんなさい……ごめんなさい。あの日私は聖女を呼び出そうと思ったの。だけど私が異世界へ飛ばされて生まれ変わって……またこの世界へ戻ってきた。本当は私が……聖女。でも……それだと……クリスが悲しむと思って……彼女に代役をお願いしたわ……」
こちらの言葉でそう話すと、私は必死に涙を耐えながらリチャードを見上げた。
「リック、お願い、このことは秘密して。私は聖女様になんてなれないよ!」
彼は考え込むように口を閉ざすと、そっと視線を逸らせた。
「聖女って仕事もそんなにないし、この国居ればいいだけでしょう。只のお飾りじゃない。もう城から出られない生活は嫌なの、お願いリック……」
必死に彼を説得すると、抱きしめられていた腕に力が入る。
「……わかりました。では私の屋敷へ来てくれますか?そこでならリサ様をお守りできます」
「リックの屋敷に?いいの?私は大歓迎だよ!」
私は涙を拭い笑って見せると、リチャードは真剣な眼差しで私を見つめた。
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