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私は公爵家の令嬢で王妃になるために、この城へ連れて来られた可哀そうな生贄。
普通はみんな喜ぶのだろうけれど、私は国の為、民の為、賢く慎ましく生きていくなんて無理。
手芸もコルセットを着けるのも、お茶会も全部大嫌い。
「ほどほどにしておけよ。もうすぐ俺とお前は夫婦になるんだ。少しは落ち着いてもらわないとな」
「わかってるって~。だからこそ残りの時間で出来る事をしているんじゃない」
彼の言う通り、時間はもうない。
私は王子と一週間後に結納を交わす。
そうなれば私は王妃……彼との約束を果たせなくなってしまう。
王子は椅子においてある服を手に取ると、気だるげに袖を通し始めた。
「ところでその古本は聖女についてか?」
「まぁ~そんなところ。ふふっ、成功するように祈っていてよ」
扉から騎士たちの声が聞こえる中、私はカーテンを開け窓を開くと、そのまま身を乗り出した。
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